2ペテ  3章16節
3:16 また、1彼のすべての手紙の中でも、2これらの事柄について語っているとおりです。その中には、理解し難い事柄もいくつかあり、学びのない者や心の定まっていない者たちは、2聖書の他の部分についてもしているように、3曲解して、自ら4破壊に至っています。
3章16節 フットノート2

わずか八つの章から成る二つの書簡の中で、ペテロは神のエコノミー全体、世の基が置かれる前の永遠の過去から(Iペテロ1:2,20)、永遠の未来の新天新地までを取り扱いました(13節)。彼は以下の四つの面から、預言者たちが預言し、使徒たちが宣べ伝えた(Iペテロ1:10―12)、神のエコノミーに関する重要な事柄を啓示しました。
 (1) 三一の神の面から。
 父なる神は、予知にしたがって、永遠の中で一つの民を選び(Iペテロ1:1―22:9)、彼らを彼の栄光の中へ召されました(Iペテロ5:10IIペテロ1:3)。キリストは、世の基が置かれる前から神にあらかじめ知られていましたが、終わりの日に現れ(Iペテロ1:20)、彼の身代わりの死によって(Iペテロ2:243:18)、命の復活と力の昇天を通して(Iペテロ1:33:21―22)、神の選びの民を贖われました(Iペテロ1:18―19,2)。天から遣わされたその霊は、キリストが贖われた人たちを聖別し、きよめられました(Iペテロ1:2,12,224:14)。(御使いたちは、これらの事柄を切にうかがい知ろうとしています―Iペテロ1:12)。三一の神の神聖な力は、命と敬虔にかかわるすべての事柄を彼らに備え(1:3―4)、彼らを守って全き救いへ至らせられます(Iペテロ1:5)。神はまた彼の幾つかのさまざまな行政上の裁きによって(Iペテロ1:172:234:5―6,17IIペテロ2:3―4,93:7)、彼らを訓練し(Iペテロ5:6)、彼のあらゆる恵みによって彼らを成就し、確立し、力づけ、土台づけてくださいます(Iペテロ5:10)。主は彼らに対して辛抱強くあられます。それは、彼らがすべて悔い改めて救われる機会を持つためです(9,15節)。その後、キリストは彼を愛する者たちに対する彼の完全な救いを携えて、栄光の中で出現されるでしょう(Iペテロ1:5,7―9,134:135:4)。
 (2) 信者たちの面から。
 神の所有である信者たちは、神によって選ばれ(Iペテロ1:1―22:9)、彼の栄光と美徳によって召され(Iペテロ2:93:9IIペテロ1:3,10)、キリストによって贖われ(Iペテロ1:18―19)、彼の生ける言葉を通して神によって再生され(Iペテロ1:3,23)、キリストの復活を通して救われました(Iペテロ3:21)。彼らは今や、神の力によって守られており(Iペテロ1:5)、互いに愛し合うようきよめられつつあり(Iペテロ1:22)、言葉の乳で養われることによって成長していき(Iペテロ2:2)、命の中で霊的美徳を発展させ(1:5―8)、造り変えられ、霊の家へと、神に仕える聖なる祭司の体系へと建造されつつあります(Iペテロ2:4―5,9)。彼らは神の選ばれた種族、王なる祭司の体系、聖なる国民、神の美徳を表現する彼の秘蔵の所有のための特別な民です(Iペテロ2:9)。彼らは神の行政上の裁きによって懲らしめられつつあり(Iペテロ1:172:19―213:9,14,174:6,12―195:6,9)、卓越した態度と敬虔の中で聖なる生活を生きて神に栄光を帰し(Iペテロ1:152:123:1―2)、長老たちの模範的な牧養の下で(Iペテロ5:1―4)、主のさまざまな恵みの良い家令として、キリストを通して彼の栄光化のために奉仕し(Iペテロ4:10―11)、主の来臨を期待し、促して(Iペテロ1:13IIペテロ3:12)、豊かに供給され、主の永遠の王国へと入ります(1:11)。さらに、彼らは、永遠に神の義が住む新しい天と新しい地を待ち望んでいます(13節)。そして、わたしたちの主と救い主イエス・キリストの恵みと知識の中で、絶えず成長しつつあります(18節)。
 (3) サタンの面から。
 サタンは信者たちの敵、悪魔であり、ほえたける獅子のように歩き回って、食い尽くすべきものを求めています(Iペテロ5:8)。
 (4) 宇宙の面から。
 堕落した天使たちは罪に定められ、永遠の裁きを待っています(2:4)。昔の不敬虔な世は、洪水によって滅ぼされました(2:53:6)。不敬虔な町々は灰と化しました(2:6)。偽教師たち、背教の異端のあざける者たち、邪悪な生活をしている人類は、すべて裁かれて滅びへと至るでしょう(2:1,3,9―10,123:3―4,7Iペテロ4:5)。天と地は焼き尽くされます(7,10―11節)。すべての死んだ者と悪鬼は裁かれます(Iペテロ4:5)。それから、新しい天と新しい地が新しい宇宙として現れ、その中に、神の義が永遠に住むでしょう(13節)。
 パウロは彼の文書の中で、やはり「これらの事柄」を語っています(新天新地を除いて)。ですから、ペテロは自分の文書を強めるために、パウロの文書に言及しました。それは、特に信者たちに対する神の行政上の裁き、また懲らしめの裁きについてです。パウロも強く、繰り返して、彼の文書の中でこの事柄を強調しています(Iコリント11:30―32ヘブル12:5―112:34:16:810:27―31,3912:29Iコリント3:13―154:4―5IIコリント5:10ローマ14:10)。これは、ペテロがパウロの文書を高く推賞する理由であるはずです。
 この推賞の中には、何と美しく卓越したものがあることでしょう! コリント人は分裂的えり好みによって(Iコリント1:11―12)、ペテロとパウロを分けようと企てましたが、ペテロはパウロを推賞して、パウロは「これらの事柄」を、自分が教えているように教えている、またパウロの手紙は曲解すべきではなく、「聖書の他の部分」と考えられる、旧約聖書と同じ尊敬を受けるべきものであると言っています。ペテロのそのような推賞は、大きなことです。なぜなら彼は、新約の信仰に関して、パウロに面と向かって叱責された人であるからです(ガラテヤ2:11―21)。これは、ヨハネ、パウロ、彼自身のような初期の使徒たちが、彼らの風格、言葉遣い、発言、見方の角度、教えの提示の方法は互いに異なっていたとはいえ、みな同じ一つの務め、新契約の務めにあずかっているのを(IIコリント3:8―94:1)、ペテロが大胆に承認したことを示しています。そのような奉仕の中心は、すべてを含むキリスト、三一の神の化身を人々に供給することです。この三一の神は、受肉、人の生活、十字架、復活、昇天の過程を経た後、キリストの贖いと聖霊の活動によって、彼の贖った人たちに、彼らの命のユニークな分け前、命の供給、あらゆるものとしてご自身を分与し、御父の永遠の目的にしたがって、キリストのからだである召会を建造します。そして三一の神の全き表現、三一の神の豊満において完成するでしょう。


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